ニホンザルの一生
赤ちゃんからこども

ニホンザルは春に生まれます。生まれてすぐは自力で歩くことが出来ませんが、1週間ほどで歩けるようになります。赤ちゃんは急速に成長し、2、3カ月もすれば赤ちゃん同士が寄り集まって遊び始めます。一日中暇さえあれば集まって遊びに興じます。遊びを通して様々なことを学習します。1年を過ぎるころには大抵のことは一人で出来るようになります。このころにはまだオスとメスの差は目立ちません。
こどもからおとなへ


1歳を過ぎるころから徐々にオスとメスの違いが見え始めます。オスの子ザルはオス同士で、年上の子ザルを交えて追いかけっこや取っ組み合いのレスリングごっこ、木によじ登ったり飛び降りたりと激しい遊びに興じます。方やメスの子ザルはメス同士で遊び、年上のメスザルに遊んでもらうことが多くなります。更に年齢が進むとオスの子ザルも体格が大きくなりオスらしい体つきに変わり始め、遊びの激しさも更に増します。メスの子ザルは妹弟や他のメスが産んだ赤ちゃんに興味津々。グルーミングをしたり、抱いたりして母親の真似事をするようになります。オスは5~6歳、メスは4~5歳で性的にもおとなに成長し、交尾をし、子を産みます。
おとなのオス

ニホンザルのオスは成長し大人になると生まれた群れを離れて行きます。群れを離れる年齢も時期もまちまちですが、すべてのオスがいずれ群れを出て行きます。数頭のオスが連れ立ってグループになることもありますが、単独で放浪することがほとんどです。そのようなサルをハナレザルと呼びます。
秋になるとそのようなハナレザルが交尾の機会を得ようと群れに近付いてきます。つかず離れず群れの周辺をうろつき、様子を伺い交尾の機会を狙います。そんなハナレザルが群れに近付くと、群れのオスたちも交尾の機会が減っては困るので威嚇し、追い立てます。しかし、メスの中にもハナレザルに興味を持ち、近付くものもいて、交尾の機会に恵まれます。
特に威勢が良く威圧的態度を示す男盛りのハナレザルは群れのサルたちに敵視されます。群れの周辺で大人しく様子を伺っている若輩のオスや老齢のオスに対しては比較的寛容です。交尾期が終わるとまた群れを離れて単独生活に戻るものも居ますが、そのまま群れに居付いてしまうものもいます。そのようにして群れから群れを渡り歩くのがニホンザルのオスの生活です。
おとなのメス

ハナレザルとなって群れを離れるオスに対し、メスは生まれた群れで一生をおくります。ニホンザルの群れの中心を構成するのはメスたちとその子供です。必然的にその数は、オスが群れを離れてゆくため、オスよりも圧倒的に多くなります。
母親、子、孫、兄弟姉妹といった血縁の近いもの同士はエサを食べる時も、のんびり過ごす時も、夜寝る時も比較的近くにいて行動を共にすることが多くなります。争いがあった時には応援に駆けつけたり、身を寄せ合って寒さを凌いだり、お互いに頼りあっています。ニホンザルの群れはそのようなメスを中心とした血縁関係にある家系が複数集まって形成されています。
メスザルは通常、1年おきに1頭の赤ちゃんを出産します。妊娠期間は180日前後。通常、出産は深夜から明け方にかけて行なわれます。一生涯に10頭ほどのこどもを生む計算になります。
ニホンザルの寿命は25年から30年です。