地獄谷野猿公苑 JIGOKUDANI YAEN-KOEN

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観察のポイント

ニホンザルを観察すると言っても漠然としていて何を、どう見たらよいのかと言う方もいることでしょう。興味の向けどころは人それぞれですから、自由に観察していただけばよいのですが、まずはいくつか観察のポイントをご紹介します。

野猿公苑では間近でニホンザルを観察することができますが、より詳細に観察するために双眼鏡があると便利です。そして、観察する際には、観察の注意を守ることはもちろんですが、イメージや先入観は忘れてありのままを観察しましょう。

からだの特徴を見よう

ニホンザルに限らず生物は住んでいる環境や食べ物を得るために、からだの構造や機能に違いがあります。ヒトやイヌ、ネコなどの身近な動物と、どこが似ていて、どこが違うのか、観察し比べてみましょう。

まずはニホンザルの体の特徴を観察してみましょう。ニホンザルの体で特に特徴的なのは顔と手足です。

たとえば、ニホンザルの目は顔の前面に並んであり、前を向いています。イヌはどうでしょうか。イヌの目は斜め横にあります。ニホンザルの目はものを立体的に見ることができ、木から木へ飛び移ったりする際に距離を正確に認識するために必要です。一方、イヌの目はより広範囲を見渡すことができ、より早く獲物を見つけるために必要と考えられます。

サルの顔
犬の顔

手足も特徴的です。ヒトと形も機能もよく似ています。ものをつかんだり、小さなものをつまんだりできる器用な手です。サルが住む森で食べ物を得るためには非常に役立ちます。たとえば、ネコの手足はどうでしょう。ネコの手足は音もなく獲物に忍び寄ることが出来ます。鋭い爪で捕らえた獲物を放しません。

ニホンザルの手足の形や、どのように使うか観察しましょう。
同じようにからだ全体の形、尾の長さ使い方はどうでしょうか。

サルの手
猫の手

行動を観察する

ニホンザルの行動を観察しましょう。ニホンザルもヒトも同じサルの仲間です。その行動もとても似ている部分があります。サル以外の動物の行動よりも分かりやすいと思います。よくニホンザルの行動を観察して、ニホンザルが何を考えているのか想像し、行動の理由を考えてみれば理解出来る部分が多いと思います。

× 争っているのか?
○ 遊んでいる子ども
× 遊んでいるのか?
○ 子供を叱る母親

個体識別

ニホンザルの行動や社会のことをより深く知りたいと思ったら、サル同士の関係が分からなければなりません。たとえば、仲良く寄り添っているサルがいたら、それは親子なのか、兄弟なのか、それとも他の関係なのか。

サルもヒトと同じように一頭ずつ顔が違います。なかなか区別しにくいのですが、慣れると、次第に顔を覚えられるようになります。顔にほくろや傷跡があったりするのを区別するのではありません。我々が友達の顔を覚えるように、何となく違う顔の雰囲気を覚えるのです。サルの顔を覚え、一頭一頭区別することを「個体識別」と言っています。

サルの観察に慣れてきたらぜひチャレンジしてみてください。さらにサルの観察が面白くなるはずです。