ニホンザルを観察しようと思ったらサルたちの生息する場所に行けばよいのです。サルが生息する場所は日本中にいくらでもあります。しかし、通常、サルたち が生息している場所は山深い森林地帯です。何時間もかけて森林を歩いても容易にサルたちに巡り合える訳ではありません。運良く巡り合えたとしてもサルたち は同じ場所に留まっている訳ではありません、絶えず移動しています。別の日に出かけても同じ場所にいるとは限りません。また、人が近付くと逃げてしまって ゆっくり観察することはまず出来ないでしょう。
そこで考えられたのが餌づけという方法です。特定の場所でサルの好むエサを与えて、サルを観察しやすい場所に呼び寄せるの です。サルは学習能力が高く、食べ物の嗜好もより旨いものを好む、餌づけしやすい動物といえます。餌づけにはサルたちが普段食べているものよりも少し上等 の物を用います。そこに行けば旨いものがいつでも食べられるということをサルたちに憶えてもらい、習慣付けるのが餌づけです。それと同時にヒトがいても危険がないことを憶えさせるのがヒトづけです。
そのような方法でサルたちを観察できるようにしたのが野猿公苑(公園)です。野猿公苑では動物園のような限られた空間ではなく、より自然に近い状態でサルを観察することが出来ます。
施設によって与える餌や方法に違いはありますが、地獄谷野猿公苑では籾殻付きの大麦、小粒の生大豆、りんごをサルたちの状況や季節、天候等によって使い分けています。普段サルが食べている草や木の葉よりも大麦の方が少し上等です。大豆も木の芽や花より少し上等。
しかし、森のヤマブドウやクリの方がそれらよりも旨い。森に木の実が豊富にある秋は、大麦や大豆ではサルたちにとって魅力的ではありません。そんな時にはリンゴを少し与えます。かといってリンゴばかりではだめだし、よりサルたちに魅力的なバナナやヒトの食べる物では贅沢すぎます。餌づけをしないで済めばそれに越したことはないのですが、それでは安定してサルを観察することが出来なくなります。栄養過多になりすぎたり、本来の生態が損なわれたりしないように配慮しています。餌づけはサルたちを観察できる状態に留めておくための手段であって、エサを与えることが目的ではありません。
エサを与えることはショウやイベントではありません。施設によっては神社仏閣で鳩の餌を売るように(それも最近は条例で規制されているが)、サル用にピーナッツなどのエサを売って、お金を払えば誰でもサルにエサを与えられる場所もあります。そのような場所のサルはヒトなら誰でもエサをくれるものだと認識していて、ヒトを見れば足元にまとわり着いてエサをねだり、くれなければ威嚇したり、手荷物を奪ったりすることもあります。強いサルばかりがヒトのそばに群がり、弱いサルは食べ物にありつけなくなります。
エサを与える人もエサをねだるサルばかりに目が行き、他のサルには見向きもしません。足元に擦り寄る強いサルを差し置いて、可愛い子ザルやエサを取りに来られない弱そうなサルに与えようとしてもサル同士に争いを引き起こすだけです。興味本位や自己満足でエサを与えることは百害あって一利なしです。それでは本来のサルの生態を観察することは出来ません。
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